1.コース解説・ラップ分析
前後半3F(34.4-34.2)
12.2 10.8 11.3 11.5 11.6 11.2 11.2 11.8
近年マイル質ではなく1400m質のレースになってきている。
これは近年の馬場の高速化と、スタートから初角が長い+コーナー緩い+直線長いことにより、ペースの緩み時がない。
この2つが原因で起きる現象で、求められる適性は持続力と14質の基礎スピード。
L3である程度のギアチェンジが求められることもあるが、中間ラップが緩みずらいことから、持続力>瞬発力となるのが近年の安田記念。
マイルCSと安田記念を連覇した馬が過去10年でモーリスとインディチャンプしかいないのは、この適性違いが原因のひとつだろう。
基本的に関西マイルは東京以上に基礎スピードが求められず、中間一息ついてからのトップスピード戦となるマイル質なので、同じマイルでも求められる適性が違いう。
分かりやすく説明すると、溜めて弾けるタイプが活躍する関西マイル(京都阪神)と、溜めずに速い脚を持続できるタイプが活躍する東京マイルで違う。
これに合わせてCコース替わり2週目なので、イン前にバイアスが向きやすく、基礎スピードの重要性が濃くなるのが例年だろう。
ただし今年の東京開催は、変則開催・雨天・エアレーションの有無など、例年とは明らかに違う馬場質になっており、時計は速いが外差しが決まりやすい馬場になっている。
恐らく、時計は出ているが例年のようなパンパンの良馬場ではなく、パワーが必要な馬場状態なのだろう。
そのため、ヴィクトリアマイル、NHKマイル、オークス、ダービーと、特に前有利になりやすいヴィクトリアマイルとダービーは真逆に近い傾向となっており中間も中弛みしやすい状態になっている。
これらの点と今年のメンバー構成を確認して最終判断はするが、例年のような14質適性の重要度は低くなる可能性はあるので、しっかり見極めたい。
2.想定される展開&馬場の適性予想
逃げ候補はトーラスジェミニ、ダイワギャグニー辺りだが、主張しなければテンの速さでラウダシオンも候補か。
トーラスジェミニならミドルハイ。ダイワ、ラウダシオンならスロー~平均というイメージで良いが、問題は例年の馬場質と違うために騎手意識的にあまり飛ばすイメージはない。
というのは先週の目黒記念を見ての通り、外差しでペースを上げたくない心理はあるだろう。
となるとトーラスジェミニが飛ばさない限りハイペース寄りのレースは考えずらく、仮にトーラスが飛ばしても後続は離れた集団で追走というイメージ。
つまり、例年の14質よりもマイル質に適性はフォーカスさせた方が良いというのが個人的な意見。
土曜の馬場は、直線内ラチは避けられてはいたが、先行馬が良いところを選んで残す形が多く、外差しはあまり目立たない形だった。
そして肝となるのは明日の雨予報。
土曜22時現在では、9時~14の間で1㎜以下の小雨が降り続く予報。
この予報なら稍重開催で、土曜の時計を考えたらあまりタフにはならないイメージ。
その前提でチャートは作るが、当日の雨次第ではタフさ>トップスピード性能になる可能性はあるので、当日見極めたい。
①持続力
②トップスピード
③雨次第でタフさ
3.全頭診断
※適性チャートは当日朝までに更新します。
1枠1番 サリオス
近2走負けてはいるが、マイルCSは後方大外一気で物理的に難しかったし、それでも上がり最速33.1秒で4着まで詰めたのは能力の表れ。
大阪杯は直線で内を選択したが、10R でラチ沿いを選んだ馬が2着にきており、この選択自体特に問題なかった可能性はあり、展開不利と道中の折り合いがラストに大きく影響したものと思われる。
ポジションと展開不利、追走経路、折り合いを踏まると、この展開でコントレイル・グランアレグリアと着差0.2秒は立派で能力は示しただろう。
今回マイルに短縮となるが、この馬の特徴は基礎スピードの高さ、瞬発持続熟してくる万能力とトップスピード。
パワフルな馬体と稍ピッチ走法からくるパワーと、かなり総合力の高い馬で基礎スピード的にもマイル路線は適性範囲内と考えて良い。
2枠2番 ギベオン
金鯱賞は単騎逃げ+道悪がハマった感が強い。
マイラーズカップでは着差0.4秒7着と詰められてはいるが、基礎スピードで置いて行かれ、ケイデンスコール比較でも決め手不足な点を見せた。
3枠3番 ダイワキャグニー
マイラーズカップではポジション的にかなり展開が向いた中での前残り4着。
これといって目立った内容ではない。
3枠4番 カラテ
トップスピード戦よりもタフな馬場や展開に強いパワータイプ。
走法的にも道悪巧者なのは頷ける。
ただし東京新聞杯の内容は強く、直線詰まりながらもL1手前で抜け出してからは加速ラップ。
個別だと(11.3-11.4-11.3)程度であるが、中山適性が強い馬なら10秒台前半のラップでL3入ったのならスピード性能的に詰まり込みでもL1加速は難しく、カラテがこのラップを踏めたのはポテンシャルの高さと見て良いだろう。
これらのことからも11.3程度の脚を持続させる能力があり、東京でも対応可能と見て良い。
ただしベストはやはりタフな中山で、中間緩まず4角位置を上げながらラスト(11.6-11.1)を出せた点は適性評価に繋がる内容。
東京G1で恐らく人気はしないと思うので、ポテンシャルの高さと適性範囲内、充実期ということからチャンスはあっていい。
4枠5番 グランアレグリア
この馬は一定のペースを持続する性能に長けている。
一定の持続性能が問われる1400m質レースだった安田記念や阪神Cのハイパフォーマンスが良い例だろう。
こういった馬は、溜めてトップスピード×瞬発力が求められるマイル質のレースでキレ負けする傾向だが、その適性が求められたマイルCSで完勝。
しかも、苦手とされていた間隔詰めローテや馬郡の競馬、直線壁などのスムーズではない状況は、この馬にとって苦手な条件でありパフォーマンスを落とす傾向だったが、直線前が開くと他馬とは積んでいるエンジンが違っていた。
大阪杯は、良馬場であれば後半マイル質のスピード持続力が問われやすい舞台で適性は決して低くなかったが、道悪とレイパパレが刻んだハイペースにより凡走。
これに関しては、道悪+ハイペースにより後半上がりの掛かる展開になってしまい、内回りハイペース消耗戦+タフ馬場ということで、宝塚記念のようなレース質になってしまい、グランアレグリアにとって適性範囲内から外れてしまったと考える。
不安点はやはり間隔詰めの叩き3戦目という点だろう。
負けるとしたらここが原因でパフォーマンスを下げるか、大きく不利を受けるかだろう。
前走内容、追い切り、グラン自身の成長などから、個人的には間隔は気にしていない。
本質的には揉まれない外枠の方がいいが、マイルCSでは内枠から馬郡競馬で勝ち切ったので特にマイナス視する必要はないだろう。
4枠6番 ダノンプレミアム
ベストはマイルCSや金鯱賞、マイラーズCでハイパフォーマンスを見せた溜め効くスピード戦。
中間緩んで溜めてパフォーマンスを上げてくる馬なので、例年の安田記念の流れでは適性外にはなるが、今年は例年と違いマイル質寄りになる可能性が高いので、そうなれば適性範囲内。
ただ安田記念を2年連続凡走している理由は、2年前出遅れ接触から直線追っていない。
昨年は間隔詰め海外帰りで、間隔を空けてパフォーマンスを上げるタイプなので臨戦的に厳しかったレースでもあった。
今年の東京G1は持続力の高い中距離馬が軒並み好走しており、しっかり溜めに回ればこの馬の持続性能が大きな武器になる可能性は高い。
5枠7番 ラウダシオン
前半14質のスピードが問われたNHKマイルや富士S、京王杯などを含む1400m戦はは全連対と、この馬のベストは馬柱の通りだろう。
高松宮記念では道悪ハイペースの後方有利な展開を、折り合いを欠きながら先行競馬でここの大敗は頷ける。
ただし、ここまで強い内容を消化しておらずマイルG1では自力面で少々不安。
というのも、シルクロードSでは直線向かい風で前有利。
飛ばした2頭の後ろに恩恵があり、トラックバイアスはフラット稍外。
つまり一番恩恵があったのは後続の先行集団の中~外の馬で、一番恩恵が大きかったポジションにいたのがラウダシオン。
京王杯でも勝ち切りはしたが、イン前有利の展開を番手競馬とバイアスに乗った影響が強いだろう。
5枠8番 インディチャンプ
6枠9番 トーラスジェミニ
基本的には巴賞やディセンバーSのように、前半スロー→中盤から流して持続戦に持ち込む競馬を得意としているが、函館記念や東風S、エプソムカップのような消耗質のレースでも高いパフォーマンスを発揮できるタイプ。
つまり道悪タフなレースか、ハイペースで後続をバテさせて粘り込む形が理想形で、そうなると良馬場東京は適性としては推す要素が少ない。
6枠10番 カデナ
新潟記念は上がり最速と上がりタイム差0.4秒、毎日王冠はサンレイポケットに差し返され、天皇賞秋はTSの質が低いキセキと上がりタイム0.1秒差。
状態面の問題もあっただろうが、直線左手前の方が爆発力は出ると思う。
つまり、長い直線でTSを活かすような舞台の東京・新潟などは舞台としては合うものの、馬の能力を引き出すには右回りの方が良いと考える。
また最近になってストライドが狭くなってきている印象で、馬自体固さが出てきている。
この前提で話すと、この馬の持続性能は衰え始めている印象で、東京では少々狙いずらい。
7枠11番 ダノンキングリー
7枠12番 ケイデンスコール
8枠13番 シュネルマイスター
基礎スピード的にマイルがベストだが、ピッチ走法で機動力が高く小回りor内回りの急坂コースで機動力を活かした競馬がベストなように思える。
前走東京G1を好走しているが、ダービーを見る限り3歳牡馬マイル路線のレベルはあまり評価できず。
内容的にもハイペース稍中弛みの差し大幅有利な展開を、中団で脚を溜め差しに回った展開利は大きかった。
ルメールの好騎乗もあった内容なので、この結果だけで東京適性を見るのは少々リスキー。
今回斤量3キロ減で他馬比較でも4キロ差はあるが、3歳牡馬マイル路線から一気に格上げし、能力不足な印象が強い。
8枠14番 カテドラル
この馬はピッチ走法で使える脚が短いので、好走条件は前崩れの展開か、スロー瞬発戦を前目から抜け出す形が望ましい。
ただし先行力がないので、後者のパターンはまず難しい。
これまで前傾質のレースで着を詰めてきたのは、前がバテる展開で一発を演出してきたからこそで、朱鷺SはL4(11.3-12.3-12.1-12.4)で前がバテる展開での差し。
前走のダービー卿はハイペース前崩れの展開を差し切りと、上記の通りであった。
ただしそれでもテルツェットには完敗。
上がり3Fでは0.5秒差付けているが、位置取りと追い出しの関係から上がり2Fではほぼ同じ時計となっている。
東京新聞杯は速いスピードが求められてはいるがL3減速ラップ。
カラテに差し返されたのは、カラテが直線壁で追い出しが遅れたからではあるが、L1加速ラップを踏んでいるカラテは余力十分で、この馬の持続性能を考えたら、詰まらなければ突き抜けていたような内容。
今回の馬場を考えれば前崩れ差し有利の展開は想定できるが、テルツェットやカラテとの相対関係を考慮するとポテンシャル的に劣る印象ではある。
4.最終予想
◎ 5グランアレグリア
〇 6ダノンプレミアム
▲ 8インディチャンプ
☆ 1サリオス
△ 12ケイデンスコール