1.コース解説・ラップ分析
東京マイルと大きく違う点は、スタート位置が向こう正面のマイルと、2コーナ途中からとなる1800m。
その影響でテンの1Fが緩むので、その分マイルよりスローになりやすく直線で瞬発力やトップスピードが求められる。
ただ緩むと言っても中間12秒前後までのラップ構成なので、マイル質の基礎スピードが必要になります。
これらのことから、通常であれば狙いたいのは1600~2000mの重賞で瞬発力とトップスピードを示した馬。
ただし今回はトーラスジェミニがいて、この馬が逃げたレースはあまり瞬発力は問われないラップで逃げるので、その点が今回の鍵となる。
2.全頭診断
※除外対象馬に関しては確定次第追記します
※適性チャートに関しては、下記見本を参照下さい
カイザーミノル
オーシャンSではイン前バイアスの恩恵はあったが完全に基礎スピード負けしたことからもスプリントは適性外だろう。
ただしマイル路線ではトップスピード不足が見られ、この馬の基礎スピードの高さと持続力からもベストは14質。
その証明となったのがマイラーズCの実績。
このレースはマイルが舞台も、ペースが非常に流れ後続の先行集団は14質系のペースで流れ、先行馬最先着と結果を残したことからも、この馬の14質ベストは伺える。
前走も急コーナーの新潟で中間は緩むも(34.2-34.9)のペースで、後半は持続力が求められた展開を勝ち切り、1400mでの適性を再度証明した。
今回は2F延長のトップスピード戦となるので、適性的には少々疑問。
ハイぺースを後方待機なら差しに回ってワンチャンスといったところだろうか。
カデナ
安田記念では、中距離馬でも追い込めるような馬場状態だったこともあり、基礎スピード不足のカデナでも追い込むことが出来たが、直線進路がなく外伸びバイアスだが内側を選択し、ダノンキングリーと上がりタイム0.1秒差は立派。
直線スムーズに外に出していれば、ダノンキングリーと同等かそれ以上の脚で追い込み掲示板は確保出来ていただろう。
となると、昨年の毎日王冠と新潟記念はTS持続に敗因を求めて良いだろう。
以前まではストライドを伸ばしてTSを持続させることも出来ていたが、最近になって馬齢による劣化で固くなってきたのか、以前よりもストライドが伸びなくなってきた印象。
その辺り含め、新潟記念はラスト脚があがり逆手前となって失速、毎日王冠でもサンレイポケットにラスト差し返されたことも頷ける。
前走の宝塚記念では、前有利の決着を最後方からの競馬では出番はないし、3.4角ハイラップをコーナー外から加速を付けた遠心力負荷は大きかった。
それでもしっかりと脚を使えた点からも、馬自体に衰えは感じない。
TS持続が以前よりも低下している可能性があるので、勝ち切るうえではデメリットになるが、自力や適性を考慮するとチャンスはあっていい。
ケイデンスコール
前走安田記念の凡走だが、33秒台前半の脚が求められキレ負けといったところに理由を求めたい。
充実期に入ってからの今年の3戦は何れも34秒前後の上がり決着でマイル質のトップスピード戦はしていなかったが、安田記念でこの馬の上がり幅は明確になったと考えて良い。
となれば、スローからの瞬発力やトップスピードが求められる毎日王冠の舞台ではキレ負けする可能性も考えられる。
展開が締まって後半上がり34秒前後の決着になったほうが良く、昨年は道悪、2.3年前はアエロリットの逃げで上がりが掛かる34秒台前後の決着だが、それ以前のレースを見ての通り、コース形態通り普通に流れれば33秒台前半の決着が想定されるので、ある程度馬場や展開の見方が必要。
馬場は開幕週で天気も崩れそうにないので、後押しとなりそうなのは展開か。
サンレイポケット
ストライド走法で持続力に長けた馬。
トップスピードの質も新潟記念で対応しているように、そこそこのものを持っているが3着と負けているように、トップスピードに秀でたタイプではなく、スピードの持続性能に秀でた馬。
上がりの掛かる持続力戦となった新潟大賞典を制したように、トップスピードを求められない方が良い。
また、ここ最近の重賞では自力を証明してきており、アルゼンチン共和国杯は、向正面で数回ぶつけられる+直線馬場の悪い内を通った分。ぶつけられながらも我慢は効いていたし、トラックバイアス不利も踏まえ評価して良い5着だったと思う。
日経新春杯は、直線進路を探しながらで結果4着だったが、持続力比べで後続は離しており内容は悪くない。
金鯱賞も後方からとなり直線でも進路を探しながらだったが、最後に脚を使って着差0.2秒に詰めている。
鳴尾記念はスロー前有利を、3.4角外を回すロスと遠心力負荷で敗因は明白と、これまで弱い負け方をしていない。
ただし、今回短縮と東京18で開幕週となれば少々スピード不足が気になるところではある。
シュネルマイスター
まず自力面の評価だが、斤量有利があったとはいえ安田記念でダノンキングリー・グランアレグリアと着差0.1秒の3着と言うのは素直に評価すべきポイント。
このレースは差し有利展開で、直線での持続力が最大に求められたレース内容だが、シュネルマイスターは出遅れ後方から出していってポジションカバーをするロスがあり、差し展開を前で受ける形になった苦しい展開。
4着インディチャンプとは使える脚の長さで有利になったが、展開を味方に付け追い出しスムーズだったダノンキングリーに着差0.1秒であれば斤量差考慮しても評価すべきレース内容。
NHKマイルは差し展開を差す形で勝ち切ったが、ソングラインはその後古馬混合の関屋記念で3着。
グレナディアーズは古馬混合重賞の京成杯AHを斤量56で出走し3着と結果を残していることからも、ハイレベルメンバーだったし、その他この世代の成績を見ても例年よりレベルが高い。
今回斤量56に対して懸念の声はあるが、NHKマイルでは57キロを乗りこなしているし、安田記念も斤量有利とはいえ、春の古馬重賞でNHKマイルから間隔を詰め、前半のロスと先行負荷で決して楽な内容ではなかった。
折り合い不安のあるダノンキングリーは延長ローテで斤量58であれば、今回逆転まで考えたい。
適性的には締まったラップのNHKマイルと安田記念、特に前で受けた安田記念の内容を考慮するとマイラーだと思うので、東京18はもちろん守備範囲。
ただし、ダノンキングリーと比較するとTS最速値は若干劣るので、ダノンキングリーが折り合ってトップスピード戦になれば分からなくなる。
ダイワキャグニー
※チャート化不可
マイラーズカップではポジション的に展開が向いた中での前残り4着と、これといって目立った内容ではない。
ダノンキングリー
トーラスジェミニ
今年の七夕賞や、昨年の函館記念や東風S、エプソムカップのような消耗質のレースで高いパフォーマンスを発揮できるタイプ。
安田記念の5着に関しては、中距離馬が活躍しやすい馬場ではあったが、これはマイラー~14質のような前半の基礎スピードがアドバンテージにならず、後半長く脚を伸ばせる中距離馬でも足りてしまう馬場状態だったのが、今年の東京マイルだったと思っているので、番手から5着に残した内容は単純に自力の高さと捉えて良い内容。
七夕賞は直前の雨も含めた消耗戦となりバイアス前で条件が揃ったが、勝ち切ったのは自力証明。
ただしベストは小回りタフ。
今回高速大箱の東京となり、適性条件とはズレる形になるのがどうか。
ポタジェ
上がりの掛かるタフなレースを先行して押し切ってきた馬だけ合って、タフさやスタミナに特化しているタイプかと思う。
掻き込み系の走法ということもあり、時計の掛かる重い馬場でパフォーマンスを上げてくるタイプ。
前走のタフな新潟大賞典、2走前の金鯱賞でのパフォーマンスがこの馬の適性を表している。
先行力もあり崩れないのが特徴な一方、重賞クラスで上がり勝負になるとキレ負けする可能性は十分考えられるので、今回の開幕週高速馬場は少々気がかり。
スローの瞬発力勝負となればキレ負けの可能性も考えられるので、上がりの掛かる展開の助けは欲しい。
ちなみに高速馬場で大幅にパフォーマンスを落とすことはないが、ベストは時計の掛かる馬場。
3走クラスではダノンマジェスティ、白富士Sではサンレイポケットに高速馬場で勝利しているが、どちらの馬もスピードタイプではないので、高速馬場適性を大きく評価するポイントにはならない。
マイネルファンロン
外枠希望。
ラストドラフト
中距離質の舞台で長く脚を使う性能に長けている持続力型。
スパッとキレる脚よりも、徐々に加速を付けて長く追い込むようなタイプかと思う。
急坂2回の長距離戦でペースも締まったアルゼンチン共和杯で好走。
タフな持続力が求められるAJCCで2年連続好走しているのが良い例。
となると、スローから瞬発力戦になればキレ負けする可能性はあるので、開幕週の馬場自体は問題ないが、スピードが分散される4~5F戦となるのが理想。
また、冬馬でもあり、叩き良化型でもある。
追い切りでは問題ないが、半年空いた臨戦で叩き良化型+冬馬であれば、狙いは叩いてからの次走にあるかとは思う。
ただし逆に言えば妙味は取れるので、期待値を追って買うのもアリ。その場合4~5F戦となるのは願いたい。
ヴァンドギャルド
本質的にベストはウェルカムSや富士Sの前傾質で後半上がりの掛かったレースで、馬場はパワーを要する方がいいだろう。
ただし、前走や高速馬場のマイラーズカップで出遅れから上がり32.7秒と、トップスピード戦においても高いパフォーマンスを発揮している。
つまりポテンシャルが高く万能より、ただし出遅れ癖や器用さに欠けるので、物理的に届かなかったり不利を受けることも多々。
昨年の東京新聞杯も出遅れから直線で進路を探しながらとなり6着と、ポテンシャルが高い反面、結果に直結する脚質的なリスクもある。
今年の東京新聞杯は不利はなかったが、前半折り合いを欠き後半失速といった形で度外視で考えて良い内容。
自力は確かで、休み明けの臨戦も苦にしないタイプ。
高速馬場はベストではないが、問題なく対応できるので、折り合い欠かず自力通りであれば勝ち負けレベル。
ヴェロックス
3.想定テン1F順位 & 適性マトリクス
12.5 カイザーミノル
12.5 ダイワキャグニー
12.5 トーラスジェミニ
12.7 マイネルファンロン
12.7 ヴェロックス
12.7 シュネルマイスター
12.8 ダノンキングリー
12.8 ヴァンドギャルド
12.9 ポタジェ
13.0 ケイデンスコール
13.1 ラストドラフト
13.2 サンレイポケット
13.3 カデナ