1.コース解説・ラップ分析
東京新聞杯 過去5年の平均ラップ
前後半3F(35.6 – 34.0)
12.5 – 11.3 – 11.7 – 12.0 – 12.1 – 11.2 – 11.2 – 11.6
この時期の馬場でG3レベルともなると、前半~中間緩んでの3F瞬発力勝負となっているが、直近2年だと中間流れて持続力勝負となっている。
その為、メンバー次第で求められる適性が少し変ってくるので、その点は注意。
上級条件の高速馬場だと、ペースが引き締まり1400m質に近づくので、基礎スピードが問われる場合もある。
今年は多少速い時計にはなっているが、メンバー見渡しても速いペースで逃げる馬は見当たらず。
逃げ候補としてはダイワギャグニー筆頭に、前走逃げたエントシャイデン、テンだとプロディガルサンやショウナンライズ辺りが思い当たるが、どれも逃げたいような馬ではない。
現状ペースはスロー寄りになると見て、瞬発力やトップスピードの高い馬に適性は寄る方向で考えている。
①トップスピード
②瞬発力
2.2020年度:総合S評価成績
3.全頭診断
見解に加え、能力・適性を以下の表のように4段階評価で振り分けました。
※あくまで枠順や追い切り確認前の私個人の評価ですので参考程度までに。
評価の内容 | |
能力 | 単純な能力評価 |
適性 | 「距離」「舞台」「馬場」の適性評価 |
S | メンバー内で抜けていると評価 |
A | 評価は高いが抜けてはいない |
B | 可もなく、不可もなく |
C | 低評価 |
? | 能力または適性が未知数 |
※除外対象馬に関しては確定次第追記します。
※チャートや一致率はあくまで目安でお考え下さい。ベースは見解です。
エメラルファイト
※劣化傾向著しくチャート化負荷。
着を詰めたメイSは展開利を受けた形だが、ラスト持続性能で劣った。
TSも足りずの内容で上位とは差があった。ここの着は評価できない。
芝に戻るが復活の兆しは個人的には見えない。
エントシャイデン
12.5 – 11.3 – 11.4 – 11.7 – 11.6 – 11.3 – 11.3 – 12.0
ミドル持続戦。中間溜めを作る逃げで3着に残した内容。14番人気3着と健闘しており、溜められれば高い能力は発揮できる。
2走前のリゲルSは折り合いを欠き前半行ってしまい溜めもできず凡走。
もともと溜めてこその馬で、溜められればそれなりのトップスピード、瞬発力、持続性能を発揮できるタイプ。
今回ペースが緩みそうなのは大幅プラスで、折り合って溜められればチャンスは十分ある。
ただしトップスピードの質が若干足りない印象なので、何かにキレ負けしそうな感はある。
カテドラル
12.6 – 11.2 – 11.7 – 11.4 – 11.1 – 11.0 – 12.2
ミドル持続戦。着を詰めるも4コーナー外回す距離ロスが響いた。ここで同位置を回したアルーシャやシヴァージはその後結果を残しており、カテドラルも同様の評価をしていいだろう。ただしスピードの持続性能はあまり高くない。
前走は前傾質のレースを先行しての凡走で、やはり後方で溜めて末脚を活かす競馬が合う印象。
これまで前傾質のレースで着を詰めてきたのは、最後方で溜めて前がバテる展開で一発を演出してきたからこそ。
とくに3走前はあからさまで、L4(11.3-12.3-12.1-12.4)なら届いて当たり前。
またトップスピードの持続性能は低く、ベストであろうスロー瞬発力戦を中団より前から抜け出すか、14質で前がバテる展開を後方一気しかない。
今回後者のパターンは難しいので、まずは中団で溜めることが必須か。
ちなみに、後方大外一気ではラストまで持続できないと思う。
カラテ
12.5 – 11.2 – 11.2 – 11.4 – 11.5 – 11.6 – 11.1 – 12.4
ミドル持続戦。前傾質の中間緩まない流れで、4角位置を上げながらL2(11.1)を使えたのは評価高い。
トップスピード戦よりもタフな馬場や展開に強いタイプ。
走法的にも道悪巧者なのは頷ける。
ただし前走は中間緩まない展開で、4角位置を上げながらラスト11.6-11.1に対応できた点は評価しなければならない。
本質的にここではないが、ポテンシャルは高いものを秘めているだろう。
ベストはタフな持続戦。上がりのかかる条件が良い。
ちなみに3走前、ミドルペースで上がりも少し掛かった東京1600mで大敗しているが、L1まで逆手前だったことが離された原因だろう。
サトノアーサー
12.5 – 11.3 – 11.4 – 11.7 – 11.6 – 11.3 – 11.3 – 12.0
ミドル持続戦。外枠から外追走。前壁が作れず向正面で折り合いを欠き直線さっぱり。
関谷記念を勝ったときも外枠だったが、最後方インで壁を作って折り合えたことが大きい。
折り合うために壁を作りたいので、まずは内枠替わりが欲しい。
ただ、この馬はトップスピード戦よりも上がりが掛かるレースや馬場で誤魔化したいタイプ。
3F戦だとキレ負けするので、スピードの分散する4F戦で且つ上がりが掛かる展開が望ましい。
となると、今回想定される展開とは合致しない。
4F戦で上がりが掛かり折り合えれば。
サトノインプレッサ
12.5 – 11.2 – 11.6 – 12.9 – 12.5 – 11.9 – 11.7 – 11.8 – 11.8 – 11.7 – 12.2
ミドル持続戦。L6から一気にペースアップし超持続戦のようなレースに。後半は上がりが掛かり馬場もタフだったことから、サトノインプレッサに向いた展開だったと思うが伸びきれず7着は評価しにくい。
トップスピード戦ではキレ負けするタイプで、得意条件は上がりの掛かる持続戦。
ダービーは4着と健闘しているが、内で距離ロスをなくして追い込んだ内容で、そこまで評価する内容ではない。
むしろダービーのポテンシャルがあれば、日経新春杯はもっと追い込めたはずなので、秋に入っての成長度合いや状態面などは疑っている。
適性的には上記で述べた通りなので、高速寄りの東京でトップスピードが求められたら難しいだろう。
サトノウィザード
12.4 – 11.4 – 11.4 – 11.5 – 11.7 – 11.8 – 11.2 – 11.8
ミドル持続戦。道中速く流れ中山16特有の14質のスピードが問われた。置いて行かれ直線一気で届かず。適性が足りなかっただけで、上がり最速33.1秒で能力は見せた。
エンジンの掛かりが遅いというか、手前変換が苦手なのか直線でちょこちょこ変えていることが目立つ。
3走前は内にモタレ、馬場の伸びない内に入ったことが敗因と見て良いだろう。
トップスピードの質含め能力の高い馬で、左回りだとモタレる癖を考慮すると関西マイルや1800m。
左回りだと、長岡Sのようにラチに頼る競馬がベストだが、この馬の脚質を考慮すると詰まるリスクはある。
末脚が活かせる舞台という点で適性は高いが、左回りという点で少々原点は必要か。
シャドウディーヴァ
12.6 – 11.1 – 11.2 – 12.3 – 12.1 – 12.0 – 12.2 – 12.0 – 11.9 – 11.1 – 11.8
ミドル持続戦。後続は稍スロー。後方インで立ち回り、好走馬は皆外を回して加速を付けた馬だったが、シャドウディーヴァはインで詰まり続け、距離ロスは省けたがスムーズに加速がつけられなかったのは痛かった。
右回りだと内にモタれる面があり、ベストが左回りなのは有名な話。
タイプ的には持続タイプ。
3走前のクイーンSはワンペース持続ラップの中、L4から動かし始め長く脚を使っての着差なし4着と距離ロスを考えたら十分な内容だし、持続性能を高く評価できる内容。
右回りでモタレ癖が出なかった点も成長を感じる。
東京1600mのヴィクトリアマイルで大敗したが、14質になり追走不足と道中の接触、イン前有利と理由は付く。
(ここから見解修正)
となると、ベストは左回りの1800~2000mで14質の基礎スピードが問われない舞台ではあるが、この時期の馬場は5月の超高速馬場とは別物。
昨年の東京新聞杯は前傾質だったが14質というほどでもないし、先週の東京馬場は時計は出るがパワーの要する馬場になっている。
つまり軽い高速馬場ではなく、メンバーを考慮しても14質の可能性は比較的薄いだろう。
またベストは18~2000mといったが、東京18.20は基本マイル質になるため、東京マイルでも14質にならなければ、このベスト条件の範囲内だと考えている。
ちなみに今のパワーを要する馬場だが、歓迎だと思っている。
参考レースは、時計の掛かる道悪馬場だった2走前の府中牝馬S。
展開利などあったが、評価ポイントは着順ではなく内容。
このレースのラスト3F内のどこかで、加速ラップ(個別)を踏めたのはサラキアとシャドウディーヴァだけ。
そのサラキアには完敗だったが、後のエリ女2着、有馬記念2着馬なら相手が悪かったし、L2でサラキア以外で唯一加速ラップを踏んで食らいついた内容は評価しなくてはならない。
つまり、ヴィクトリアマイルのような軽い高速馬場ではなく、時計の掛かるパワー馬場がベスト。
今の、時計は出るがパワー馬場+外差しバイアスの東京なら、この馬にとって絶好の条件ではないか。
※チャート修正済み。修正項目トップスピード4→4.5に上方修正。
修正理由:ヴェロックス比較で同値は違うと判断。ヴェロックスよりもトップスピードの質は高い。
S評価の理由:一致率92%だが、パーセンテージを下げているのは先行力。ただし今の外差しバイアスとテンの遅いメンバー構成という点でから、先行力の優先度は低いと見てSに繰り上げ。
ショウナンライズ
昨年中山1600mで5着しているが、馬場が渋って極端な外差しバイアス。
5番手外先行し、そのままバイアスに乗っかって残した5着なので評価できず。
基礎スピードの活きる舞台のほうが良いが、マイル質のトップスピード比べだと能力足りないか。
ダイワキャグニー
12.5 – 11.2 – 11.6 – 12.9 – 12.5 – 11.9 – 11.7 – 11.8 – 11.8 – 11.7 – 12.2
ミドル持続戦。L6から速くなり持続力比べとなったレースを番手で運び後半ガス欠。距離がギリギリだったうえに後半長い持続力比べではガス欠もしかたない。
このメンバーなら逃げまで想定はされるが、とりあえずスロー戦なら展開利は受けられるだろう。
3F瞬発戦でトップスピード比べをするよりも、持続力で粘りこむような形が良い。
ただしトップハンデで軸向きかと問われると抑えまでが妥当か。
距離は久々のマイルだが、とりあえずスロー想定なら。
トライン
12.2 – 11.0 – 11.4 – 11.6 – 11.6 – 11.5 – 11.4 – 12.1
ミドル持続戦。ラスト脚が止まったのは道中折り合いを欠いた消耗だろう。持続性能の問題ではない。
軽い高速寄りの馬場で末脚勝負がベストだろう。今の東京はどちらかといえば合う。
瞬発力もあるが、後方から追い込みキレを落とさない持続性能が強みだと思う。
前走は上記の通り折り合いを欠いた消耗でラスト伸び悩んだと見ているので、前走内容で持続性能は疑っていない。
間隔を開けるタイプで中間内容もいい、休み明けはむしろプラスに捉えている。
トリプルエース
12.5 – 11.3 – 11.4 – 11.7 – 11.6 – 11.3 – 11.3 – 12.0
ミドル持続戦。質的にはマイル質で適性合わず、基礎スピード、持続力、機動力で押し切るタイプなだけに出遅れは痛恨。
ベストは基礎スピードと持続力が活かせる14質系のレースだろう。
その根拠に、2.3走前はハイペース前傾戦を押し切っての連勝。
基礎スピードや持続性能に長けているからこそできる勝ち方である。
今回ペースが流れれば、今の高速寄り東京マイルはベストに近い舞台だが、ペースが緩むトップスピード比べなら評価は落ちる。
鞍上ルメールは強力だが、適性的には2択で、個人的には合わない方を引くと見ている。
ただそれでもポテンシャルは評価しているし抑え必須か。
流れが噛み合えば頭まである。
ニシノデイジー
とにかく折り合いが課題とされてきた馬。
前走函館記念も折り合い欠いてレースになっていない。
スピードに対応できるかはともかく、この距離短縮はプラスに働くだろう。
買い材料としてはここしかないが、全く人気はないと思うので100円くらいは抑えようと思う。
ロードマイウェイ
12.5 – 11.3 – 11.4 – 11.7 – 11.6 – 11.3 – 11.3 – 12.0
ミドル持続戦。向正面で接触があり、ラチ柵にぶつかる不利があった。揉まれ弱い馬でもあるし、それ以降は全く競馬にならずは仕方ない。度外視可能。
大阪杯はスタート後に躓いて後肢を捻ったとのことで度外視可能。
3走前は休み明けマイナス台中の斤量59キロと仕方ないが、前走しっかり巻き返しての2着は評価。
評価したいのは2走前のキャピタルS。
ここで求められたのは持続力性能で、ピースワンパラディ相手に内容はそれなりで評価していい。
ストライドが広く揉まれ弱さも見せるので、内で包まれるよりもキャピタルSのように外でスムーズな競馬で持続力を活かせれば。
とりあえず中~外枠が理想で、ギアチェンジの質踏まえ3Fトップスピード比べだと足りないので、展開が少し流れて後半持続質で上がりが少し掛かれば。といったところか。
プロディガルサン
12.6 – 11.2 – 11.7 – 11.4 – 11.1 – 11.0 – 12.2
スロー持続戦。14にしてはペースが落ち着き、マイル質のような展開になった。敗因は距離ではなく3.4角の手前変換不良でふらつきっぱなしだったことだろう。まったく力は出し切れていないし度外視でいい。
とにかくマイペースで運びたい馬で、米子Sは後方から終始ポジションを上げての競馬でハナ差4着に粘りこみ。
大逃げした関越Sも(34.0-36.1)で1000m通過57.4秒を首差4着と、ここの2戦はかなり強い内容。
近2走は大敗続きだが、前走は上記の通り敗因は明確。
関谷記念は速いラップを終始外回し。新潟のコーナー角を考えればきつかったし、好走馬は内から出ている。ここも理由は付くだろう。
休み明けは毎回走ってくるタイプだし、外枠からスムーズにマイペース競馬をして力を出し切れれば面白い存在。
一致率とチャートの形を見ての通り、適性としては真逆だが、この手のタイプは適性云々より、いかに自分の形で走れるかなので適性は気にしないでおく。
ヴァンドギャルド
12.5 – 11.0 – 11.4 – 12.0 – 11.6 – 11.0 – 10.8 – 11.7
スロー瞬発戦。サリオスやペルシアンナイトより距離ロスをなくした分の着差で上がりタイムは0.1~0.2秒ほど劣るが、道中折り合いを少し欠きながらこれだけ出せたのはトップスピードを評価しなくてはならない。
本質的にベストはウェルカムSや富士Sの前傾質で後半上がりの掛かったレースで、馬場はパワーを要する方がいいだろう。
ただし、前走や高速馬場のマイラーズカップで出遅れから上がり32.7秒と、トップスピード戦においても高いパフォーマンスを発揮している。
つまりポテンシャルが高く万能より、ただし出遅れ癖や器用さに欠けるので、物理的に届かなかったり不利を受けることも多々。
昨年の東京新聞杯も出遅れから直線で進路を探しながらとなり6着と、ポテンシャルが高い反面、結果に直結する欠点も持っている。
あとは休み明けで仕上がっているかどうかだろう。
恐らく1番人気だと思うし、欠点と妙味を考慮すると軸にはリスキーかとは思っている。
ヴェロックス
12.5 – 11.2 – 11.6 – 12.9 – 12.5 – 11.9 – 11.7 – 11.8 – 11.8 – 11.7 – 12.2
ミドル持続戦。L6から速くなり持続力比べとなったレースを先行競馬。前半ポジション争いでごちゃついたストレスはあっただろうが、敗因は上がりの掛かった超持続戦だろう。小倉大賞典の時もそうだが、前半速いところで脚を使い、後半上がりの掛かる形になり失速は同じパターン。
日経新春杯の回顧分を見てもそれは分かってもらえるだろう。
今回3F瞬発力戦になったらキレ負けする可能性は十分に考えられ、展開が流れたら後半上がりも掛かるし、14質よりの追走もよくない。
中距離路線のトップスピード持続戦でこそベストだと思うので、ここの適性としては評価できない。
4.展開と馬場
高速馬場とはいえ、この時期特有の少々パワーのいる馬場でもある。
目立ったトラックバイアスは出ていないので、展開次第で考えていきたい。
その展開だが、プロディガルサンの参戦により難しくなった。
以前大逃げをして首差4着に残していたり、ここ最近は折り合いに難しさが出ているため、ある程度速いペースも想定される。
想定としてはスロー~ミドル。
スローならプロディガルサンが先行した場合、3Fのヨーイドンをする前に捲って4F戦になるか、暴走してそもそも3F戦にならない可能性がある。
持続力のある中団差し、基礎スピード高めの持続質の馬を狙っていきたい。
5.最終予想
◎ 11シャドウディーヴァ
〇 12トリプルエース
▲ 14エントシャイデン
☆ 6プロディガルサン
抑 2.3.4.5.8.9.10.13